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(2025/07/13) 担当:長尾 小百合(事務局・会計担当 30期)
俳句同好会 第34回「蘇鉄の会」報告
令和7年7月12日(土)
小石川後楽園の涵徳亭にて春の句会を開催しました。
曇りがちの天気でしたが、少し涼しく感じられたため
お庭の散策を楽しむにはちょうど良い環境でした。
今回の投句参加者12名(含む講師)、
投稿句は全48句でした。
兼題:「金魚」一句
季題:「夏」三句
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【城下洋二先生投句】
酔ひ醒め喉の渇きや夜の金魚
枇杷熟るる河原で雲を追ひしこと
昼食のカレーの匂ひ梅雨晴れ間
あぢさゐとしづかにものを考へる
【選句と選評】 講師 城下洋二
<特選>
空泳ぐ夢見る金魚夕あかね(真砂)
金魚鉢に閉じ込められた金魚は
自由に大空を泳ぐ夢を見ているかもしれない。
異次元かアクアリウムに舞う金魚(真智子)
アクアリウムに立つとまるで金魚の世界に迷い込んだような錯覚を
覚える。そういう意味で「異世界」という表現もありかと思う。
(参考)異世界かアクアリウムに舞う金魚
息吐いて沈んで見せる金魚かな(勝利)
泡粒を吐いて沈んでゆくのを金魚の芸のように捉えたところが面白い。
蝉時雨他にひとつの声もなく(純子)
激しい蝉しぐれを聴くと逆に沈黙の世界にいるような
錯覚に陥るときがある。この句では声としているが何の物音も
聞こえないとしたほうがより蝉しぐれのすごさが伝わってくる。
(参考)蝉時雨他にひとつの音もなく
ぐいぐいと伸びて南瓜の花七つ(真砂)
かぼちゃの成長は力強く速い。
素直に表現してその勢いをうまく表現できている。
<並選>
動かざるシーラカンスに似た金魚(博石)
シーラカンスの記録映画を見たことがあるが、ほとんど動かない。
にもそんな奴がいるので、この表現は面白い。
ただ「似た金魚」とすると全体にキレがないので「似て金魚」
としたほうが変則的ではあるが切れが生じ、句が締まる。
(参考)動かざるシーラカンスに似て金魚
金魚舞う水面に映る窓揺らし(小百合)
動詞を三つも使うと全体に冗長になるので、
なるべく動詞は二つ以内にするとよい。
(参考)翻る金魚水面の窓揺らし
朝日享け初成りきゅうりちぎりけり(真砂)
「朝日享け」とすると、作者が朝日を受けていることになるが、
この句では「初成りのきゅうり」が主役なので「朝日享く」
とする方が焦点がきゅうりに絞られるてよい。
また「ちぎる」は乱暴なので「摘む」としたほうがいい。
(参考)朝日享く初成りきゅうり摘みにけり
雲の間に大山蓮華開かんと(博石)
曇り空に大山蓮華の白い花が開こうとする蕾を詠んでいるのだが、
蕾といううのは瞬間的に開かないので、「開かんと」とすると説明的になる。
(参考)雲の間に大山蓮華開きけり
過ぎし日々このジャカランダの紫と(龍彦)
ジャカランタの花と作者の思い出が重なっているのだろう。
抒情的でいい句だが、上五で切った方が句としてはすっきりする。
ただじゃカランタの花は初夏の花だが、
一般的に季語として定着しているかどうか。
(参考)過ぎし日やこのジャカランダの花の色
波音や香る潮風夏の宿(徹)
この句は波の音が主役ではなく夏の宿が主役なので、
下五を頭に持ってきた方がいい。
(参考)夏の宿香る潮風波の音
夏草をかき分け歩く夏遍路(南行)
夏草と夏遍路が季重なりなので「夏草」を「猛き草」と直したほうがいい。
(参考)猛き草かき分け進む夏遍路
曇天に泰山木の白き花(良)
大山蓮華の句と同じ情景だが、飾り気がなく好感が持てる。
夏支度簾にあたる風涼し(まさ)
読もうとする情景はいいのだが、季語が三個もあるので
もう少し推敲した方がいい。
たとえば参考例のように簾に焦点をあてて書くといい。
(参考)吊るしたる簾にあたる風やよし
第34回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数・講師選含む
兼題「金魚」
異次元かアクアリウムに舞う金魚 (4)真智子
孑孑を一飲みにする金魚かな (1)良
動かざるシーラカンスに似た金魚 (2)博石
金魚舞う水面に映る窓揺らし (3)小百合
金魚釣り親子揃ひて下駄をはき (2)徹
傘かしげ金魚鉢に影つくる (0)まさ
紙破れ金魚スイスイ通り抜け (0)南行
空泳ぐ夢見る金魚夕あかね (1)真砂
息吐いて沈んでみせる金魚かな (1)勝利
金魚鉢我が王国を悠々と (1)龍彦
育ち過ぎ狭き住処の金魚かな (1)純子
季題「夏」
改札のカメラの上に親つばめ (1)真智子
曇天に泰山木や白き花 (1)良
雲の間に大山蓮華開かんと (3)博石
透ける陽に母の面影レース傘 (2)小百合
湯けむりに寛ぐ浴衣星の空 (1)徹
蛸食しあやかる元気半夏生 (0)まさ
紫陽花やそっと寄り添い舫傘 (0)南行
朝日享け初成りきゅうりちぎりけり (2)真砂
見上げれば転ばされそな夏遍路 (1)勝利
過ぎし日々このジャカランダの紫と (2)龍彦
湧き出づる入道雲の美しさ (1)純子
蜘蛛の子のジャンプは軽し追う指も (1)真智子
メダカの子小さきゆえに針子なり (0)良
碧天に零れむばかり花樗 (1)博石
風恋しTシャツの背に汗の地図 (4)小百合
波音や香る潮風夏の宿 (3)徹
夏支度簾に当たる風涼し (1)まさ
鳥の声谷間を抜けて夏の風 (4)南行
はちきれむ小さきトマト実りけり (2)真砂
汁の味薄いの濃いのと素麺日 (0)勝利
はつ夏の雲もくもくと湧き出でぬ (1)龍彦
蝉時雨他にひとつの声もなく (4)純子
炎暑のバス乗客は静か (0)真智子
空豆や天を仰いで何思う (0)良
エゴの花唯ひたすらに下向けり (1)博石
冷索麺のばす箸ふれ照れ笑い (0)小百合
道の駅避暑の客はや海水着 (1)徹
食卓に鮎のぼりて夏来たる (0)まさ
夏草をかき分け歩く夏遍路 (1)南行
ぐいぐいと伸びて南瓜の花七つ (3)真砂
夏座敷天井の染み座布枕 (1)勝利
手洗いに三度も起きる夏の朝 (0)龍彦
火玉散る線香花火華麗なり (0)純子
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第35回「蘇鉄の会」ご案内
開催日時:2025年10月3日(金)13:00~
選評講師:城下洋二先生
御 題:兼題「虫(蟋蟀、鈴虫、螽蟖など)」 1句
当季(秋)雑詠 3句 計4句
投句締切:2025年9月22日(月)
投句方法:兼題1句と当季雑詠3句の計4句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿をお願いします。
下記メールアドレスまでお送りください。
nagao@work21.co.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
開催場所:清澄白河庭園 涼亭
参加費用:3500円(お弁当代・会場費等)
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