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(2025/10/08) 担当:長尾 小百合(事務局・会計担当 30期)
俳句同好会 第35回「蘇鉄の会」報告
令和7年10月3日(金)
秋の句会は清澄庭園の池の上に突き出るように建つ涼亭にて開催。
部屋の三方のガラス窓から美しい庭園の姿を眺めながらの句会となりました。
今回の投句参加者8名(含む講師)、
投稿句は全48句でした。
兼題:「虫」一句
季題:「秋」三句
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【城下洋二先生投句】
灯を消せば遠く近くに鉦叩
秋立ちぬ挨拶のごと通り雨
秋澄めり罅を接ぎたる呉須赤絵
鬼灯を吹き膨らますおばあさん
【選句と選評】 講師 城下洋二
<特選>
鈴虫の微かな声に夜の雨(南行)
秋雨の降る夜、鈴虫のか細い声が聞こえてくる。
いかにも秋の夜といった感じ。
金柑の蜜煮に映る障子影(小百合)
黄金に光る金柑の密煮に真っ白な障子が映りこんでいる。繊細な美しさ。
八方の尾根に飛び交う赤とんぼ(南行)
高原の池などにアキアカネが群れている光景が目に浮かぶ。
十三夜吟行帰りのもんじゃ焼き(真智子)
十三夜ともんじゃ焼きの取り合わせは新鮮。
このころは肌寒い頃なのでもんじゃ焼きにちょうど良い季節。
<並選>
虫の音を束ねて風の駆け抜けぬ(博石)
一陣の風は虫の音を束ねて駆け抜けるようだと見立てたところは面白い。
夜更けて虫の音清か床に就く(徹)
「清か」は秋の季語なので、参考のように「虫の音高し」として如何か。
(参考)夜の更けて虫の音高し床に就く
鈴虫のふと止んで人の通るらし(龍彦)
鈴虫が止むのではなくその音が止むのだから表現は正確に。
原句は一流れに表現しているが、参考のように「止みぬ」と、
いったん切って「人通るらし」としたほうが変則的ではあるが、リズムが良い。
(参考)鈴虫の音ふと止みぬ人通るらし
秋高し遠くに顔出す富士の山(純子)
富士山が中空に見えていると表現としては「顔出す」より
「浮かぶ」の方がいいのではないか。そうすれば中七の字余りも解消できる。
(参考)秋高し遠くに浮かぶ富士の山
灯籠や雨にたゆたふ夢のごと(小百合)
「灯篭や」と上五で切ると、「雨にたゆたふ」ものが何かわからなくなる。
参考にのようにすると灯篭とはっきりする。
(参考)灯篭の雨にたゆたふ夢のごと
庭先で虫のシンフォニー心地よい(まさ)
庭先の虫の音に聞き入った景を詠んだものだが、「心地よい」は直接的すぎるので、
「しばらくは」そこに居たとすれば、聞き入った様子が表現できる。
(参考)庭先の虫の調べにしばらくは
秋の空飛行機雲や一直線(良)
「秋の空」「飛行機雲や」「一直線」とブツブツと句が切れているので、
「秋空の飛行機雲」と一流れの表現にした方がいい。
また飛行機雲が一直線は当たり前すぎるので、崩れるさまにした方がより印象深い。
(参考)秋空の飛行機雲の今崩る
石手川土手一面におしろい花(真砂)
日常の風景を素直に詠んでいるので、好感が持てる。
銀漢を見上げて友の訃報かな(龍彦)
訃報を知って、天の川を見上げたのだろうから素直にそう表現した方がいい。
(参考)銀漢を見上げし友の訃報かな
秋分や半分分けておはぎ喰う(勝利)
おはぎを分けた相手が見えないので参考例のように
具体的に描いたほうが景が見える。
(参考)秋分や妻とおはぎを半分づつ
第35回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数・講師選含む
兼題「虫」
大学の茂みの虫の音や豊か (0) 真智子
虫籠にただ一輪の桔梗かな (1) 良
蟷螂や後脚立てて身構える (0) 博石
虫の声書きかけの句の筆止めて (1) 小百合
夜更けて虫の音清か床に就く (1) 徹
コオロギの初鳴きを待つ日暮れ時 (3) まさ
鈴虫の微かな声に夜の雨 (1) 南行
蟷螂の薄茶に成りて斧を振 (3) 真砂
虫鳴いて煙突に月いまいずこ (0) 勝利
鈴虫のふと止んで人の通るらし (3) 龍彦
虫の声待ちわびし秋涼やかに (1) 純子
季題「秋」
とび職の足場の先や天高し (5) 真智子
秋の空飛行機雲や一直線 (1) 良
虫の音を束ねて風の駆け抜けぬ (3) 博石
灯籠や雨にたゆたふ夢のごと (3) 小百合
秋雨や街路を掛ける川の如 (2) 徹
時知らせ背比べしている曼珠沙華 (0) まさ
赤トンボ止まる帽子に風そよぐ (2) 南行
石手川土手一面におしろい花 (1) 真砂
秋通勤匂いの違う他者と居て (0) 勝利
秋天高く我が家のアゲハ旅立ちぬ (1) 龍彦
秋高し遠くに顔出す富士の山 (2) 純子
トレンドをSNSと追う夜長 (1) 真智子
秋雨に促されてる茸かな (1) 良
久し振り大振り秋刀魚舌鼓 (2) 博石
金柑の蜜煮に映る障子影 (1) 小百合
新高梨剥きて束の間孫来たり (1) 徹
庭先で虫のシンフォニー心地よい (1) まさ
八方の尾根に飛び交う赤とんぼ (1) 南行
新米のちらし寿司漬け友を待つ (2) 真砂
秋分や半分に分けおはぎ喰う (1) 勝利
銀漢を見上げて友の訃報かな (5) 龍彦
懐かしや秋桜畑駆けし犬 (1) 純子
十三夜吟行帰りのもんじゃ焼き (2) 真智子
散歩道こんなところで栗拾い (1) 良
炊き立ての新米ご飯黄金色 (1) 博石
古道染め供華のごとし女郎花 (0) 小百合
八十路超へ父母の待つ里秋彼岸 (1) 徹
分け入って芒に溺れ道忘れ (1) まさ
外に出て身にしむ朝や墨田川 (0) 南行
十六夜に廉太郎賞の報せあり (0) 真砂
おはぎ買う彼岸の空に置きて見る (0) 勝利
運動会子等はつらつとソーラン踊り (0) 龍彦
電気代ほっと一息秋来たり (1) 純子
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第36回「蘇鉄の会」ご案内
開催日時:2026年1月10日(金)12:00~(予定)
選評講師:城下洋二先生
御 題:兼題「初日・初日の出」 1句
当季(冬)雑詠 3句 計4句
投句締切:2025年12月22日(月)
投句方法:兼題1句と当季雑詠3句の計4句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿をお願いします。
下記メールアドレスまでお送りください。
nagao@work21.co.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
開催場所:調整中です。決まり次第お知らせします。
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