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(2022/01/09) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第20回「蘇鉄の会」報告
令和4年1月8日(土)、築地にて久々に集合開催の予定でしたが、直前に新型コロナ・オミクロン株急拡大が顕著となったため急遽予定変更となり、今回もWEB開催となりました。
元旦は美しい抜けるような青空の拡がりを見せた年明けとなりましたので、今年は、この人類に課せられた困難な事態も次第に晴れて明るい年になっていくことでしょう。
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(城下先生 投句)
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【選評と講評】 城下洋二 講師
≪兼 題≫
「雑煮」
<特選>
憂きことも佳きこともあり雑煮食ふ 龍彦
一定の年齢にならないと作れない俳句。もちろん若くても詠めますが、実感が伴わないので気障に聞こえます。
<並選>
お雑煮や瀬戸の香残るいりこ出汁 博石
お雑煮は全国百種以上あるそうですが、いりこ出汁は瀬戸内のものかもしれません。懐かしいと言わずに具体的に「いりこ出汁」と言ったところが素晴らしい。
≪当季句≫
穭田に石投げてみる初氷 博石
穭(ひつじ)田(た)は秋、初氷は冬の季語ですが、この句の場合、明らかに初氷が主と分かるので問題ありません。荒涼とした穭田の水たまりと思しきところに石を投げてみる。案の定乾いた音がする。初氷だ。少年の頃の弾んだ心が蘇る。
急激に体に堪へる冬が来た 良
口語と方言が生きた句。これを文語にして「急激に体に堪ふ冬来たる」とすると臨場感が薄れる気がします。
寒き朝横目で睨む雀かな 南行
私は四十年ぐらい毎朝雀に餌をやっているのですが、雀は警戒心が強く、その眼光は意外と鋭く、時に恐竜の子孫を思わせます。寒い朝ふと雀と目が合った瞬間をよくとらえています。
円空仏供へる柿は一つなり 龍彦
素朴な円空仏には沢山の贅沢な供え物ではなく、そこいらに生っている柿一つが似合うという趣旨なのでしょうが、表現が少し見えを切っているように感じられるので、次のようにされた方が自然な気がします。
(添削) 円空仏に柿ひとつ供へけり
ささ鳴きや小枝を揺らす訪問者 まさ
鶯の姿はなかなか見つけ難いものですが、枝から枝へ細かく動き回るので、見当がつきます。ただ「訪問者」とまで言わなくてもいいのではないでしょうか。
(添削)ささ鳴きや藪の小枝を揺らしをり
友逝けり君亡き年も暮れゆかむ 龍彦
「友逝けり」と「君亡き」とは同じことを言っているので、どちらかを省いた方がいいです。私も友人を失くすことが増えてきましたので、その心情は良く分かります。今年は晴天が多かったので次のようにしたら如何でしょう。
(添削) よく晴れて君亡き年も暮れゆかむ
春迎ふ家族そろひて猫は膝 真砂
三段切れでリズムがぎくしゃくしているので、次のように整理しては如何でしょうか。こうすれば猫も家族の一員というのが分かると思います。
(添削) 初春の家族そろひて膝に猫
魚河岸の年の瀬馳せるターレかな 徹
年の瀬の忙しい魚市場の様子が目に浮かびます。
第20回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「雑煮」
お雑煮や瀬戸の香残るいりこ出汁 (3) 博石
憂きことも佳きこともあり雑煮食ふ (2) 龍彦
母作りし丸餅雑煮懐かしき (1) 孝枝
雑煮こそ白味噌仕立て京(みやこ)なれ (1) 真砂
故郷の雑煮懐かし餡子餅 良
この味に舌鼓する雑煮かな 南行
初雑煮搗きたる餅の今むかし 徹
当季句
犬引きて犬に引かれて冬の朝 (4) 南行
穭(ひつじ)田(だ)に石投げてみる初氷 (3) 博石
魚河岸の年の瀬馳せるターレかな (3) 徹
薄の穂水面を荒らす鳥羽の雨 (2) 南行
人待ちの上野駅舎に寒すずめ (2) 真砂
「駅馬車」に思ひ出尽きぬ夜長かな (1) 博石
若き日のセーター解きて糸となる (1) 孝枝
冬空に飛行機雲一直線 (1) 良
冬木立電飾の枷かがやかせ (1) 孝枝
つかの間の心に染みる冬夕焼 (1) まさ
友逝けり君亡き年も暮れゆかむ (1) 龍彦
几帳面元旦に咲くシクラメン (1) 良
いつの間にセーターの胸乙女さぶ (1) 孝枝
木枯らしや風船のごと枯れ葉舞う (1) まさ
鳥三羽木守りの柿に集いをり (1) 龍彦
Go To の旅はいずこへ月望む 徹
山粧ふ心粧ふと異ならず 博石
人だかり園池の亀の日向ぼこ 徹
あかねさす朝の斑(むら)雲(くも)大晦日 真砂
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【講 評】
城下洋二 講師
俳句の主な要素は素材、構成、表現です。
いい素材(テーマ)でも構成によって読者へのインパクトが違いますし、表現によって訴える力が変わります。
素材が一番際立つ構成と表現を磨いてください。
そのためには「懐かしい」ならどんなことが懐かしいのか、「思い出す」ならどんなことを思い出すのかを明確にすることが大事です。
抽象的でなく所謂「ものに語らせる」ことが大事です。
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晴天の日枝神社 令和四年元旦
野川の雪景色
円空物と柿
木守 鳥三羽
第21回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2022年4月9日(土)12:00~
御題:兼題「蛙」1句及び当季句3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
集合場所:築地フェリック社 11:30集合
「ボンマルシェ」(イタリアンレストラン)へ移動
投稿締切:2022年4月2日(土)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」参加申込:上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
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