ホーム > 同窓会 > 俳句同好会 > 2022/07/08「第22回 蘇鉄の会」ご報告及び次回開催のご案内
(2022/07/09) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第22回「蘇鉄の会」報告
令和4年7月8日(金)午後1時より、東京都江東区清澄にあります史跡公園「清澄庭園」の池に突き出て建てられた「涼亭」において第22回蘇鉄の会を開催しました。
「(清澄庭園は)泉水、築山、枯山水を主体にした「回遊式林泉庭園」です。この造園手法は、江戸時代の大名庭園に用いられたものですが、明治時代の造園にも受けつがれ、清澄庭園によって近代的な完成をみたといわれています。
この地の一部は江戸の豪商・紀伊國屋文左衛門の屋敷跡と言い伝えられています。享保年間(1716~1736年)には、下総国関宿の藩主・久世大和守の下屋敷となり、その頃にある程度庭園が形づくられたようです。
明治11年、岩崎弥太郎が、荒廃していたこの邸地を買い取り、社員の慰安や貴賓を招待する場所として庭園造成を計画、明治13年に「深川親睦園」として一応の竣工をみました。弥太郎の亡きあとも造園工事は進められ、隅田川の水を引いた大泉水を造り、周囲には全国から取り寄せた名石を配して、明治の庭園を代表する「回遊式林泉庭園」が完成しました。
清澄庭園は、関東大震災で大きな被害を受けましたが、この時図らずも災害時の避難場所としての役割を果たし、多数の人命を救いました。岩崎家では、こうした庭園の持つ防災機能を重視し、翌大正13年破損の少なかった東側半分(現庭園部分)を公園用地として東京市に寄付し、市ではこれを整備して昭和7年7 月に公開しました。
また、昭和52年には、庭園の西側に隣接する敷地を開放公園として追加開園しました。ここには芝生広場、パーゴラなどがあります。また、サクラの木が20本ほど植えられ、春のお花見の場となっています。なお、庭園の方は、昭和54年3月31日に東京都の名勝に指定されています。
都立公園・都指定名勝
住所:東京都江東区清澄三丁目3-9
面積:37,434.32㎡
開園:1932年7月24日」
(東京都公園協会「公園へ行こう」webサイト『この公園について』より)
清澄庭園 涼亭
今回の参加は、講師を含む投稿者10名、全40句でした。
……………………………………………………………………………………………
城下洋二 講師 句
青梅の香や湯に子供入れしこと
慎ましき祈りの館半夏雨
山小屋の屋根の雨音夏炉焚く
室外機みな路地を向く暑さかな
令和四年七月
………………………………………………………………………………………………
【選評と講評】 講師 城下洋二 氏
≪兼 題≫
「青梅」
<特選>
青梅を丁寧にふき梅酒漬く 孝枝
丁寧にの一語でみんなに喜んでもらおうと梅酒をつけている感じが出ている。
青梅の三粒生りしを弄ぶ 博石
ようやく実のつけ始めた梅であろう。この数では梅酒にも梅干し
にもできないが、何となく愛おしくてついつい「弄ぶ」。
実の成り始めた梅に対する作者の思いがうまく表現できている。
<並選>
故郷や弟よりの青梅なり 良
上五を「や」で切る必要がない。むしろ「や」と「なり」の切れ字が重なり、どちらを重要視しているのか不分明なので避けたい
(添削例)故郷の弟よりの青梅なり
葉隠れの青梅一つまた一つ まさ
数詞は必然性がないと語呂合わせとなり、句が陳腐になる。この句の場合、葉に隠れていた実に気が付くと次々と見つかったという驚きの描写なので数詞の表現を工夫してみたい。
(添削例)葉隠れの青梅一つ三つ六つ
……………………………………………………………………
≪当季句≫(夏)
シャンソンが白雨の庭に響く午後 南行
外には驟雨、内にはシャンソン。二つの取り合わせで、夏の午後の気怠い感じがよく出ている。
空蝉よ集いて語れ終戦忌 龍彦
蝉ではなく、空蝉としたことで、戦争体験が風化していくことに
作者が危機を感じているのが私には感じられた。
更衣して朝礼の列増えしごと 孝枝
暗い色の制服から白い夏の制服へ一斉に変わった時の鮮やかな印象をよく捉えている。
緑さす白き山肌尾瀬ヶ原 南行
緑さすの季語が初夏の尾瀬ヶ原の情景によく合う。
城の背にまんまるかかる夏至の月 真砂
月が懸かるというのは常套的なので省いたほうがいい。
(添削例)城の背にまことまんまる夏至の月
新しき服着てくぐる薔薇の門 孝枝
薔薇の門と新しき服の取り合わせがうまい。
二三日胡瓜採らねば規格外 博石
スーパーで見かける形の揃った野菜を見かけると不自然さを感じる。作者もそんな日本の現状に違和感を覚えているのだろう。
「規格外」の表現がうまい。
夏来たり傘寿の巡り宮参り 徹
傘寿おめでとうございます。ただ「傘寿の巡り」はよく分からないので、感謝の気持ちととって添削してみた。
(添削例)夏来たる傘寿の感謝宮参り
(参考)
日盛りの硝子戸のうち漱石房 真砂
漱石の旧居は「漱石山房」であり、固有名詞を造語に置き換えることはできない。
ただ「硝子戸の中」という作品名を織り込んでおり、
いい素材なので添削してみた。
字余りは上五にもっていくのが原則なので、
(添削例)漱石山房硝子戸の中日の盛り
ベランダで大葉ひろげるタフな紫蘇 小百合
俳句はすべて言うと味が無くなる。読者に想像の余地がないと散文や報告文になってしまう。この句の場合紫蘇と大葉は同じ事を意味するので避け、タフなとまではいわないほうがいい。ベランダも紫蘇も夏の季語なのだが、この句の場合季重りでも仕方ないと思う。
(添削例)ベランダや紫蘇の大きく葉を広げ
第22回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「青梅」
葉隠れの青梅一つまた一つ (4) まさ
狭き庭にも鈴なりの青梅かな (3) 真砂
青梅を丁寧にふき梅酒漬く (1) 孝枝
青梅の一雨打ちて鮮やかや (1) 徹
ゴルフ茶屋青梅ふたつ空蒼し 南行
青梅の三粒成りしを弄ぶ 博石
青梅や連なる枝に蒼き風 龍彦
庭先に並ぶ青梅唾がわく 小百合
当季句
田植え前水面を叩く燕たち (4) 博石
夏空に明日は巣立ちか四十雀 (3) 良
二三日胡瓜撮らねば規格外 (3) 博石
ここだけは晴れたる雨の花柘榴 (2) 龍彦
シャンソンが白雨の庭に響く午後 (2) 南行
田舎道植田は鏡よ山映る (2) まさ
空蝉よ集いて語れ終戦忌 (1) 龍彦
夏来たり傘寿の巡り宮参り (1) 徹
緑さす白き山肌尾瀬が原 (1) 南行
夏帽子被り少女の乙女さぶ (1) 孝枝
シャボン玉散る花びらとランデブー (1) 博石
紫陽花や変化を楽しむ雨の日々 (1) まさ
水映える田植えは間近旅列車 (1) 徹
ベランダで大場ひろげるタフな紫蘇 (1) 小百合
城の背にまんまるかかる夏至の月 (1) 真砂
落ちてなほ律儀に並ぶ実梅かな (1) 龍彦
新じゃがを茹でて夕餉の馳走かな (1) 真砂
遅ればせ息子の昇進嬉しけり 良
玉の汗ポロリ顎から落ちにけり 小百合
菜の花や地下はともし火果てしなく 徹
つばめ来て並ぶ仲間と歌合戦 まさ
鳴り響く夏至の清水トランペット 南行
茄子焼いて冷えたビールで人心地 小百合
朝市や甘々娘大人気 良
古池や蛙飛び込む水の音(石碑)
第23回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2022年10月8日(土)12:30~16:00
御題:兼題「 虫一切 」(秋の虫、蟋蟀・バッタ・鈴虫など)1句
当季(秋)雑詠3句 計4句
選評講師:城下洋二 氏
開催場所:小石川後楽園 (文京区後楽1-6-6)
開催時間:12:30~16:00
参加費用:昼食代含め3,000円程度
投稿締切:2022年9月28日(水)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句の計4句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿をお願いします。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
松山北高校同窓生の「蘇鉄の会」参加を随時受付けています。
上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
尚尚
コメント
名前 (必須)
メール (必須)※メールアドレスが公開されることはありません
コメントを残す