ホーム > 同窓会 > 俳句同好会 > 2024/04/13 第29回「蘇鉄の会」ご報告&次回第30回開催のご案内
(2024/04/14) 担当:長尾 小百合(事務局・会計担当 30期)
俳句同好会 第30回「蘇鉄の会」報告
令和六年四月十三日(土)新宿御苑で春の句会を開催しました。今年は桜の開花が遅かったため、まだ花がたくさん残っていて、「これで見納め」とばかりに、大勢の方が新宿御苑を訪れていました。ポカポカ陽気の中、八重咲の桜「一葉」と「ソメイヨシノ」の大木の間に腰を下ろしお弁当を広げてお花見を楽しんだあと、青空のもとでの句会となりました。
今回の投句参加者11名(含む講師)、投稿句は全41句でした。
兼題:「朧月・朧月夜」一句
季題:三句
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【城下洋二先生投句】
句座果てて宴の窓のおぼろ月
風のなか屈めばつくしつくしかな
日を浴びて芍薬の芽の燃え上がる
初花や空にぽかりと白き富士
城下洋二
令和六年四月
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【選句と選評】 講師 城下洋二
<特選>
手を幹に花と語りし母は逝き(真智子) 手を幹にあて桜と交感する母上の姿を、桜の季節になると思い出す作者の 母上の対する気持ちが伝わってきます。最後を「逝き」としたことにより 死の悲しみが今も続いているのが感じられます。
ぴかぴかの制服うれし風光る(小百合)
新調の制服を着た新入生の気持ち或いは悦ぶ新入生を見ている 親の気持ちが素直に読まれています。季語の斡旋もいいです。
筆の花取りて夕餉の菜一つ(まさ)
土筆を夕食のおかずに加えるという田舎暮らしが見えてきます。 「取りて」は「採りて」と表記すべきでしょう。
願わくばキーウの街にリラの花(博石)
戦争が終わり、キーウの市民がリラの花を愛でるような 平和が来ることを私も願っています。 平和への希求が直接的でないとこらがいいと思います。 「願わくば」は文語表記では「願はくば」
<並選>
“NO WAR”は世界の願い月おぼろ(博石)
スローガン的な句作りは言いたいことが強すぎて、 詩情に欠けることが多いです。この句の場合季語を「亀鳴く」という 空想的なものに変えることにより、世界中が平和を願っても 現実には平和が遠いことが強く浮かび上がると思います。 (参考)“NO WAR”は世界の願い亀の鳴く
朧月フォーレの調べ鎮魂歌(真砂)
朧月とレクレイムの取り合わせは面白いと思いますが、 調べと鎮魂歌は重複するので調べは不要です。 フォーレのレクレイムが胸にこだましたとしてはいかがですか。 (参考)朧月胸にフォーレの鎮魂歌
朧月鍵穴探す老夫婦(良)
年取ると、慣れた玄関の鍵でも暗ければうまく鍵が入らない ことがあります。滑稽味があって面白い句です。
花衣水上バスの二人旅(龍彦)
ちょっとおしゃれして二人で花見の水上バスに乗り込む、 年配のご夫婦か恋人か、読者の想像が膨らみます。
山がすみ遍路はゆきぬ沈下橋(勝利)
情景は目に浮かびますが、霞も遍路も春の季語です。 「ゆきぬ」と完了形にしていますが、現在の情景の方が臨場感があります。 (参考)山けぶり遍路の歩む沈下橋
堀端の一分二分咲き風光る(南行)
一分咲きだけでは何の花かわかりませんので、 きちんと「花(桜)」の語を入れましょう。また花を入れると 「風光る」が季重なりになるので次のようにしてはいかがでしょう。 (参考)堀端の風きらきらと花三分
梅が香の兆しやいずこ旅の宿(徹)
宿に着いたらどこからともなく梅の香りがしたという情景なので、 「兆しやいづこ」は少し大上段に構え過ぎた感じがします。 もう少し自然な表現の方がいいと思います。 (参考)梅が香のいづこともなく旅の宿
第29回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数・講師選含む
兼題「朧月・朧月夜」
朧月古城に宴有りし時 (3) 真智子
朧月鍵穴探す老夫婦 (3) 良
〝NO WAR〟は世界の願い月おぼろ (2) 博石
街路樹の枝に隠れておぼろ月 (0) 小百合
今宵また朧月夜や影二つ (0) 徹
季は移る垣根の向こうにおぼろ月 (0) まさ
水の音水面に浮かぶ朧月 (1) 南行
朧月フォーレの調べ鎮魂歌 (2) 真砂
ここまでは狐狸に化かされおぼろ月 (1) 勝利
当季句
おぼつかぬ口笛競う初音かな (1) 真智子
春うららテニス三昧昼下がり (0) 良
九十九(つづら)坂姿見えずも初音かな (0) 博石
蒲公英の割れ目に生える健気さや (1) 小百合
家路へと雪青白し月明り (0) 徹
カリ渡る竿やカギやの春の空 (0) まさ
花衣水上バスの二人旅 (1) 龍彦
堀端の一分二分咲き風光る (2) 南行
雪柳花枝先に子犬の眼 (0) 真砂
山がすみ遍路はゆきぬ沈下橋 (4) 勝利
菜の花や映える入日の峰の雲 (2) 真智子
花見酒若かりし頃ウイスキー (0) 良
願わくばキーウの街にリラの花 (4) 博石
遅咲きの花待ちわびて桜餅 (0) 小百合
梅の香の兆しやいずこ旅の宿 (2) 徹
末黒野の芒の芽生え青々と (0) まさ
鳥達も花から花へ風薫る (0) 南行
雨上がり城郭むくり夕桜 (2) 真砂
ベランダのひよどりの背に薄桜 (0) 勝利
手を幹に花と語りし母は逝き (4) 真智子
春の雨希望旅立ち高校生 (0) 良
風そよぐてんとう虫を道連れに (0) 博石
ぴかぴかの制服うれし風光る (2) 小百合
老いの道辿り辿りて梅の花 (0) 徹
筆の花取りて夕餉の菜一つ (4) まさ
白波に川鵜首出す春の川 (1) 南行
ぼんぼりに花降る参道夜の風 (3) 真砂
ひんやりと庫裡の奥の甘茶かな (2) 勝利
第30回「蘇鉄の会」ご案内
開催日時:2024年7月6日(土)12:30~(予定)
選評講師:城下洋二先生
御題:兼題「鬼灯市」または「四満六千日」1句
当季(夏)雑詠3句 計4句
投句締切:2024年6月28日(金)
投句方法:兼題1句と当季雑詠3句の計4句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿をお願いします。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
nagao@work21.co.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
開催場所:小石川後楽園(予定)
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