(2021/10/17) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第19回「蘇鉄の会」報告
令和3年10月2日(土)、今回もWEB開催となった「蘇鉄の会」でした。外出自粛を余儀なくされる日々も長くなりましたが、そのような中で俳句を詠むことが、心をのびのびとさせてくれる思いがけない効果があることに、改めて気付かされます。
今回の参加は、講師を含む投稿者9名、全36句です。
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【選評と講評】 城下洋二 講師
≪兼 題≫
「霧」
<特選>
朝まだき霧笛幽かに夢に聞く 龍彦
夢うつつの中で聞く霧笛、旅情を感じます。
<並選>
霧晴るる沖の船場に鴎舞ひ 徹
船場は波止場のことなので、「沖の船場」は違和感があります。船場を網場もしくは漁場 としたら如何でしょう。
霧が晴れてくると、沖の漁場に鴎が群れており、魚群が来ている、今日も豊漁だといった 情景になります。
(添削) 霧晴るる沖の網場に鴎舞ひ
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≪季 題≫
<特選>
太陽のいつぱい詰まる柘榴の実 博石
柘榴の真紅の実を見ていると太陽の光が詰まっているようですね。見事な比喩です。
子規球場塁を巡るはアキアカネ 真砂
上野の子規球場、人気ない塁上に赤蜻蛉が群れている情景です。秋晴れの澄んだ空気とそこはかとない秋の寂しさを感じるのは私だけでしょうか。
正岡子規の句に
赤蜻蛉筑波に雲もなかりけり
というのがあり、その句を重ねて読めば、重層的に読解できるところが面白いと思います。
新しき郵便受けに秋の雨 真砂
なんでもない光景ですが、真新しい郵便受け、銀色のものでしょうか、それとも塗料も新しい木箱か、それに秋の雨が当たり、水玉ができ、光っています。何かいい知らせでも運んできそうな気さえしてきます。日常のちょっとした心の弾みがさりげなく詠まれています。
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<並選>
縁側に蝉の亡骸日は陰り 徹
詠んでいる情景は眼に浮かびますが、「亡骸」と「日は陰り」の取り合わせは暗くなりすぎます。「日は陰り」を夕日の射した光景に変えたら光と影の対比が明瞭になります。
(添削) 縁側に蝉の亡骸夕日濃し
叱られて瀬戸の港の秋夕焼け 龍彦
叱られて家を飛び出し、埠頭で秋の夕焼けを見ている少年のやるせなさが伝わってきます。
糸瓜忌や我いつまでも伊予訛 孝枝
糸瓜忌と伊予訛の取り合わせはいいのですが、俳句は基本的に一人称の文学なので「我」は不要です。これを省くとぎくしゃくした日本語が滑らかになります。
(添削) 糸瓜忌やいまでも残る伊予訛
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第19回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「霧」
朝まだき霧笛幽かに夢に聞く (4) 龍彦
霧せまり行き交ふ人みなしかめ面 (3) まさ
霧深き比叡の山に若き君 (1) 南行
霧晴るる沖の船場に鴎舞ひ 徹
人の世は諸行無常や霧の中 博石
大山に霧立ち上る雨上がり 良
朝霧に守られ帰る家出の孫(こ) 真砂
当季雑詠
糸瓜忌や我いつまでも伊予訛 (4) 孝枝
子規球場塁を巡るはアキアカネ (4) 真砂
友の逝く無聊の日々や夏去りぬ (3) 徹
太陽のいっぱい詰まる柘榴の実 (3) 博石
叱られて瀬戸の港の秋夕焼 (2) 龍彦
野に遊びふるさと恋し曼殊沙華 (2) まさ
稲架組みて天日に晒す稲穂かな (2) 博石
遠浅の潮満ちきたり大夕焼け (1) 龍彦
寅さんのごと仰向きて見る月見草 (1) 博石
縁側に蝉の亡骸日は陰り (1) 徹
満月や眩しき窓辺秋の風 (1) 南行
風さやか銀杏ひろい散歩道 良
汗ばみて日陰を抜ける初夏の風 南行
初秋の空山城の天守閣 孝枝
一斉に香り漂う金木犀 良
日足伸び暮るる日々や秋近し まさ
無縁坂儚き想ひの雁渡る 真砂
音絶えて梵鐘幽か秋の暮れ 龍彦
台風一過競り落とされし柘榴かな 南行
秋深し檸檬の香マティーニ 良
二科展やデフォルメの顔誰かに似て 孝枝
獺祭忌偲んでまつるはじき豆 まさ
秋彼岸宿す想ひは山野越へ 徹
新しき郵便受けに秋の雨 真砂
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【講 評】 城下洋二 講師
季重なり(季跨り)の句が二十四句中七句ありました。
季重なりを一概に駄目とは言いませんが、推敲すれば別の表現できるものがほとんででした。
例えば「月」と言えば秋で他の季節の月は「春の」とか「冬の」とか形容詞をつけるのが俳句の約束ですので「秋」の形容は不要です。
俳句は十七音しか使えませんのでなるべく重複表現を避け、季語を生かして表現したいことを十分に詠んでください。
季語か季語でないかを簡単に調べる方法があります。歳時記もしくは季寄せの総索引を調べることです。
総索引は五十音順に季語が並べてありますので、そこで季語を調べて、季節を確かめてください。
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第20回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2022年1月8日(土)
御題:兼題「雑煮」1句及び当季雑詠3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
集合時間及び場所:未定
投稿締切:2022年1月3日(月)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
※あらかじめメールにて上記締切までに俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」参加申込:上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
(2021/06/16) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第18回「蘇鉄の会」報告
未だ緊急事態宣言下の東京都、令和3年6月5日(土)に開催を予定していた第18回「蘇鉄の会」でしたが、新型コロナウイルス感染症収束の見通しのない状況が続いているため、今回もWEB上での開催となりました。
対面でのコミュニケーションが制約される毎日が続いておりますが、「俳句」は無限のイマジネーションの世界……。「五・七・五」は、多彩に多様に縦横無尽の拡がりと繋がりを生み出します。
全国の松山北高校同窓生の皆様、どうぞお気軽にご参加ください。
今回の参加は、講師を含む投稿者9名、全36句です。
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【選評と講評】 城下洋二 講師
<特選>
校庭に生徒整列楠若葉 孝枝
楠若葉でいかにも元気溌剌な生徒が想像できます。そして説明的でなく、
一読、初夏の学校の風景が見えてきます。
どくだみの匂ひ仄かに雨上がり 南行
雨上がりの情景を匂いで表現したところが素晴らしい。
雨上がりの十薬の白い花の咲き乱れた光景が目に浮かびます。
手植えする泥田の水の輝けり 真砂
気持のいい句。現代では手植えする田は棚田か催事の田ぐらいでしょうが、
田植えする姿と見事に晴れ渡った空が見えてきます。
花冷えや柱に残る背比べ 博石
花冷えという季語で背比べをした子供たちがもう大きくなったのが感じられ
ます。柱の傷を見て、幼い頃の自分或いは子供たちの記憶をよみがえらせて
いる作者のちょっと感傷的な心象風景が感じられます。
<並選>
薫風や母校の校歌口ずさみ 孝枝
薫風の爽やかさにふと青春時代を懐かしみ、校歌を口ずさむ。分かります。
春の野にスマホ持ち出し花の名を 良
花を写すと名前が分かるアプリ、便利です。現代の一風景。
路わたるカルガモのごと園児らは 龍彦
可愛らしい風景ですが、カルガモでは大人の鴨も指しますので、カルガモの子
とはっきり書きましょう。
(添削) 路わたる軽鴨(かる)の子に似て園児らは
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兼題「蝸牛(かたつむり)」
【講師選】
生垣や昔は良く見しかたつむり 良
生垣も少なくなりましたが、蝸牛もとんと見かけません。
生垣と蝸牛の取り合わせが懐かしい。
天守閣石垣攻めや蝸牛 真砂
天守閣の石垣を這う蝸牛を見て「石垣攻め」と大げさに表現したところが
面白い。ただ「天守閣石垣」では日本語としてなじまないのでここは上五
を字余りにして「天守閣の」と「の」を入れた方がいいと思います。
(添削) 天守閣の石垣攻めや蝸牛
かたつむり足跡残しかくれんぼ まさ
蝸牛の這った跡を見て、かくれんぼしていると発想したところが素晴らしい。
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講評
全体的に説明的な句が少なくなってきました。そして季語に心情や情景を語ら
せる句が多くなってきて、句に奥行が出てきております。次回が楽しみです。
※ 次回の兼題は、「霧」です。
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第18回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「蝸牛」
蝸牛狭庭の主のまだ現れず (4) 孝枝
背に重荷人の人生蝸牛 (1) 博石
雨上がり何処に隠れた蝸牛 (1) 南行
かたつむり足跡残しかくれんぼ (1) まさ
天守閣石垣攻めや蝸牛 (1) 真砂
生垣や昔は良く見しかたつむり 良
蝸牛雨後の一途は君の世ぞ 徹
カタツムリ我も迷いて歩みし春を 龍彦
当季雑詠
野球の子透き通る声夏来たる (3) 博石
どくだみの匂ひ仄かに雨上がり (3) 南行
宇宙の理赤く満ちたる夏の月 (3) 真砂
手植えする泥田の水の輝けり (3) 真砂
花冷えや柱に残る背比べ (2) 博石
校庭に生徒整列楠若葉 (2) 孝枝
路わたるカルガモのごと園児らは (2) 龍彦
万緑や紅一点の美しさ (1) まさ
山法師みどりに純白散歩道 (1) 良
これはまあ巨き桑の実石垣に (1) 龍彦
薫風や母校の校歌口ずさみ (1) 孝枝
風に舞う朝陽を浴びて鯉のぼり (1) 南行
庭隅に鉄砲百合のぱんと咲き (1) 真砂
パレスチナ永遠の契りを五月雨 徹
ほうき草コキアと名乗り人気者 良
神苑は緑を違え静もれり 孝枝
春の野にスマホ持ち出し花の名を 良
到来物今宵は皆と筍飯 徹
時移り草木もみんな衣替え まさ
冬超えて羽化せしアゲハ放ちけり 龍彦
ゆりかもめそっと寄り添い春の川 南行
養花天一日も長く花見酒 まさ
思い出は遠退くばかり月朧 徹
「地獄組」匠の技や山笑ふ 博石
第19回「蘇鉄の会」ご案内
日程:2021年10月2日(土)
御題:兼題「霧」1句及び当季雑詠3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
投稿締切:2021年10月2日(土)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
講評・選評:WEBにて受付の後、講評・互選結果発表
※メールにて上記締切までに俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」参加申込:上記メールアドレスにお申込み下さい。
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
(2021/04/13) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第17回 蘇鉄の会 報告
2021年3月6日(土)、春の築地市場アトリウムにて開催を予定しておりましたが、諸事情により今回もWEB上での開催となりました。今回の参加は、講師を含む投稿者8名、全33句です。
城下洋二 講師選
兼題「木の芽」
【特選】
一と日づつ木の芽吹きたり陽の光 徹
(講評)「風光る」という季語があるように春の日の光は柔らかく明るい。
そして日一日と木の芽が膨らんでゆきます。
木の芽時の季節感を大きくとらえたところがいい。
【並選】
猫の行く木の芽ふくらむ谷中みち 真砂
(講評) 谷中という地名が効いている。
朝陽浴び木の芽の先に蒼き空 南行
(講評) 折角の素晴らしい光景が叙述的、説明的になっています。
「朝陽浴ぶ木の芽の先の蒼き空」
とすれば写真のようにその一瞬の光景を定着できます。
東雲の犬に引かるる木の芽道 博石
(講評)爽やかで健康的な日常
当季雑詠
【特選】
想い出に期限などなし春の星 孝枝
(講評)いつまでも想い出にしがみついているという悪口もありますが、
それに対して人それぞれと開き直った感じが面白い。
春の星でその思い出が潤いを帯びたものだと思わせます。
チェロ響く上野の森に春の月 真砂
(講評)きれいな光景です。ちょっと材料が整い過ぎているような気もしますが・・・。
霜柱地中に城を築きけり 博石
(講評)幼い頃霜柱を見て、地中帝国などを夢想したものです。
城を築きけりと断定したところがいい。
梅の蘂競いて空に背比べ 博石
(講評)細かいところに焦点を当てて、適格に描写しています。
【並選】
菜の花の供花子規に添ふ母の墓 孝枝
(講評)「添ふ」が分かりにくいです。
多分子規の墓の側に母の墓があるという意味なのでしょう。
だとすれば
「菜の花の供花子規の墓母の墓」
とすればすっきりとするのではないでしょうか
冴え返る一筋の雲里帰り まさ
(講評)里帰りが冴え返るようで里帰りそのものにドラマがあるように感じられて面白い。
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第17回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「木の芽」
東雲の犬に引かるる木の芽道 (3) 博石
猫の行く木の芽膨らむ谷中みち (2) 真砂
木の芽張る樹木の明るさ神の杜 (1) 孝枝
朝陽浴び木の芽の先に蒼き空 (1) 南行
一と日づつ木の芽吹きたり陽の光 徹
木の芽みそ熱燗片手に田楽とうふ 龍彦
木の芽和え時候の挨拶朝の膳 まさ
当季雑詠
チェロ響く上野の森に春の月 (4) 真砂
思い出に期限などなし春の星 (3) 孝枝
霜柱地中に城を築きけり (3) 博石
梅が香に連れ添ふ旅や夢の朝 (2) 徹
まどろみて雲の枕かふきのとう (2) まさ
東(ひんがし)の稜線燃え立つ刻(とき)待てり (1) 龍彦
梅の蕊競いて空に背比べ (1) 博石
烏瓜つる一本の命かな (1) 南行
蠟梅や枯れた蕾を囲む朝 (1) 南行
春寒に母の形見のスカーフ巻く (1) 真砂
鴨の群れ行く手はいづこ夕日影 (1) 徹
冴え返る一筋の雲里帰り (1) まさ
鉢の木に枝ゆれ残るメジロかな 龍彦
日記買ふ昭和を遠く置いてけり 徹
揚雲雀垂直飛びの技冴えて まさ
吊し雛息通はせばしくと揺れ 孝枝
すれ違ういぬ着膨れてとりどりに 龍彦
菜の花の供花子規に添ふ母の墓 孝枝
近づけば桜にあらず真弓の実 博石
とぼとぼと老犬を引く冬の朝 南行
ひっそりと里帰りなき雛祭り 真砂
第18回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2021年6月5日(土)
御題:兼題「蝸牛(かたつむり)」1句及び当季雑詠3句 計4句
選評講師:城下洋二先生
集合場所:(新型コロナの状況により、現在のところ、WEB開催予定)
投稿締切:2021年5月30日(日)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
下記メールアドレス迄お送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
「蘇鉄の会」会員募集:上記メールアドレスにお申込み下さい。
入会資格:愛媛県県立松山北高校卒業生
年会費:5,000円(振込先は別途ご案内)
(2020/12/23) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第16回 蘇鉄の会 報告
2020年12月5日(土)、初冬の殿ヶ谷戸庭園にて開催予定の第16回「蘇鉄の会」は、新型コロナウイルス感染症予防のため、密となる会合を回避してWeb上で行いました。今回の参加は、講師を含む投稿者9名、全36句です。
城下洋二 講師 句
城下洋二 講師選
兼題「時雨」
特選
島影に小舟の急ぐ瀬戸しぐれ 博石
並選
猫二匹軒下で待つ夕時雨 真砂
当季雑詠
特選
子犬一匹家族に加え冬ぬくし 孝枝
小柴さん宙に還りし秋の暮 徹
ひとつづつ蜜柑摘む音軽やかに 博石
並選
北壁に夕日眩しき暮の秋 南行
茶の花や園の一隅明るくす 孝枝
米粒を嘴に付け寒雀 南行
旧友に文書く窓辺冬の月 真砂
【選外選評】
特選、並選には選ばれなかった句で、若干添削をしてみました。
参考にしてみて下さい。
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時雨降る心も濡らすコロナの今 (まさ)
語順を変えるだけで下の字余りを消すことができます。
(添削例)
コロナ禍の心も濡らす小夜しぐれ
俳句はなるべく動詞を少なくする方が、説明的でなく、リズムが
良くなります
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クリスマス個々に用意し孫四人 (良)
「用意し」と入れることで、句全体が説明的になりますし、何を用
意したのか分からないので、省略した方がいいでしょう。俳句は基
本一人称の文学なので、特段書かなければ、なされた行為は作者自
身ということになります。用意したのが贈り物という風に解釈して
添削してみました。
(添削例)
孫四人個々にサンタの贈り物
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うたた寝のふと顔上げて時雨聴く (龍彦)
中七の「ふと顔上げて」が不自然に思えます。
「時雨聴く」の表現はいかにも静かな雰囲気を醸し出しています。
(添削例)
うたた寝の覚めて枕に聴く時雨
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【講評】
今回追悼句がありましたので、一言。
追悼句で大切なのは一つには、その人の業績や人となりを表すこと、
もう一つは亡くなった人に相応しい季語を贈ることです。
過去の名句をいくつか挙げておきます。ご参考にしてください。
碧梧桐追悼
たとふれば独楽のはぢける如くなり 高浜虚子
悼斉藤茂吉先生
残雪や「くれなゐの茂吉」逝きしけはひ 中村草田男
芥川龍之介の長逝を深悼す
たましひのたとへば秋の螢かな 飯田蛇笏
十月未明に発たれたれば 莫山先生
お柩の丈に秋明菊剪らむ 黒田杏子
十二月十日 小沢昭一先生
ひとり芝居の八十余年しぐれ虹 黒田杏子
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第16回「蘇鉄の会」互選結果 ( )内数字は得票数
兼題「時雨」
島影に小舟の急ぐ瀬戸しぐれ 博石 (5)
しぐるるやふる里とほしけふもなほ 徹 (1)
うたた寝のふと顔上げて時雨聴く 龍彦 (1)
猫二匹軒下で待つ夕時雨 真砂 (1)
時雨るるも家庭菜園散水す 良
時雨降る心も濡らすコロナの今 まさ
コロナ禍に震える会議初時雨 南行
時雨るるや鉛筆2B苦吟せり 孝枝
当季雑詠
子犬一匹家族に加へ冬ぬくし 孝枝 (5)
米粒を嘴に付け寒雀 南行 (3)
新しき住まいに飾る寒椿 真砂 (3)
旧友に文書く窓辺冬の月 真砂 (3)
北壁に夕日眩しき暮の秋 南行 (2)
ゆく秋や徒然草を道連れに 博石 (1)
寒立ちの馬にしあらめ除夜の鐘 龍彦 (1)
茶の花や園の一隅明るくす 孝枝 (1)
初釜や背筋正して山呑まむ 龍彦 (1)
ひとつづつ蜜柑摘む音軽やかに 博石 (1)
衣かつぎほどよきサイズ熱燗で 龍彦 (1)
鶺鴒の飛沫を浴びて石叩く 博石 (1)
甘きかな小さき蜜柑ふるさとの 真砂 (1)
晩秋やこの時だけの装いを まさ
共演す鰯雲に飛行機雲 徹
青空に皇帝ダリア映え映えと 良
裸木となるカエデの小さき命見る まさ
クリスマス個々に用意し孫四人 良
小柴さん宙へ還りし秋の暮 徹
ひとしきり落葉の洗礼受けており 孝枝
冬の風揺れる杉玉みずみずし まさ
シラス漁秋も漁期や斎灘 徹
落ち葉掃き腐葉土作り春を待つ 良
窮すれど小春日和は長閑なり 南行
以上
第17回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2021年3月6日(土)(時間は未定)
御題:兼題「木の芽」1句及び当季雑詠3句 計4句
場所: (未定)
参加費:5千円(予定)
選評講師:城下洋二先生
参加申込:2021年2月25日(木)迄にお申込み下さい。
「蘇鉄の会」会員は既に予約数に入っています。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
投稿締切:2021年2月25日(木)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
メールにてお送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
尚尚
(2020/11/23) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
令和2年12月5日(土)12:30より、国分寺市の殿ヶ谷戸庭園にて開催を予定していました第16回「蘇鉄の会」は、新型コロナウイルス感染症の拡大が収まらないため、殿ヶ谷戸庭園での句会は中止とし、予定を以下のように変更させていただくこととなりましたのでお知らせします。
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【第16回「蘇鉄の会」Web開催ご案内】
御題:兼題「時雨」1句(※)
当季雑詠…3句
(全4句)
投稿締切:2020年12月5日(土)までに、メールにて長島までお送りください。
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(2020/09/26) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第15回 蘇鉄の会 報告
新型コロナウイルス感染症の鎮静化の兆しも見えない状況が続いているため、第15回「蘇鉄の会」(2020年9月12日(土))もWeb上開催となりました。
愛媛県立松山北高校同窓生の皆様、ふるってご参加下さい。
人と人との繋がりが分断化される中でも、「蘇鉄の会」は、人知れず健やかに深く広大かつ多様な世界を共有しています…。
尚、今回の参加は、講師を含む投稿者9名、全36句です。
講師選
兼題「月」
特選句
外出自粛空に真っ白夏の月 博石
並選句
縁側で祖母と遊んだ盆月夜 まさ
会へずとも共に眺める盆の月 真砂
当季雑詠
特選句
新スマホ孫に教はる梅雨晴間 徹
蔦みどり飲込まむとすビル一つ 龍彦
線状降水帯天の川さへ氾濫す 博石
並選句
休暇果つ背丈の伸びて乙女さぶ 孝枝
コロナ禍の関係者のみの秋祭り 良
燈下親し新刊本の匂ひ掌に 孝枝
互選結果( )内数字は得票数
兼題「月」
会へずとも共に眺める盆の月 真砂(6)
昏れなずむ昏き島影月の道 龍彦(1)
外出自粛空に真っ白夏の月 博石(1)
縁側で祖母と遊んだ盆月夜 まさ
三日月や夜空にきらり鎌のよう 良
窓の外秋風そよと月明かり 南行
盆の月ふるさとへの旅叶わざり 孝枝
湯けむりに胃国語交ふや宵の月 徹
当季雑詠
燈下親し新刊本の匂ひ掌に 孝枝(3)
うつし世をしばし忘れて夏の夢 南行(2)
線状降水帯天の川さへ氾濫す 博石(2)
休暇果つ背丈の伸びて乙女さぶ 孝枝(2)
硯洗ふ恋文書きしこともあり 孝枝(2)
蜩や玉川疎水上ぼりゆく 真砂(2)
鳳仙花はじけて夏の終わりかな 真砂(2)
コロナ禍の関係者のみの秋祭り 良 (1)
蔦みどり飲み込まむとすビル一つ 龍彦(1)
橋半ば叫び尽きたるあぶら蝉 南行(1)
朝顔のカーテン揺らぎ風さやか 博石(1)
妻の干す梅はほのかに母の影 徹 (1)
野分去り木漏れ日浴びて散歩道 良 (1)
夏の日のうたげ華やぐ酔芙蓉 龍彦(1)
雨上がり蝉一斉に大合唱 良 (1)
蒼天を皇帝ダリアつらぬけり 龍彦 (1)
光淡し遠くに見ゆる漁り火や まさ
新スマホ孫に教はる梅雨晴れ間 徹
ゆきあいの空にかかるやいわし雲 まさ
百合の花膨らむ蕾恥じらゐて 博石
腹を出す魚とじゃれ合う川鵜かな 南行
永遠の夏呼ばれし花や撫子か まさ
真夜中や蝉の声止む配達夫 徹
秋めいて差す陽伸びるや籠る日々 真砂
城下講師講評
今回季重なり、季跨りの句が散見されたが、季重なり・季跨りが一概に駄目とは言わないけれど、安易に使用するのは避けたい。
季重なりや季跨りは句の焦点がぼやけたり、二重説明になったりすることが多いので、推敲されたい。
以上
第16回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2020年12月5日(土)(時間は未定)
御題:兼題「時雨」1句
当季雑詠3句 計4句
場所: 殿ヶ谷戸庭園(予定)
参加費:5千円
選評講師:城下洋二先生
参加申込:2020年11月25日(水)迄にお申込み下さい。
「蘇鉄の会」会員は既に予約数に入っています。
愛媛県立松山北高校同窓生の皆様、ふるってご参加下さい。
当日、会場参加できない方は、Web参加も可能です。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
投稿締切:2020年11月25日(水)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
メールにてお送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
(2020/06/13) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第14回 蘇鉄の会 報告
2020年6月6日(土)第14回「蘇鉄の会」をWeb上にて開催いたしました。。
今回は、新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、東京都は「緊急事態宣言」発令下にあり、予定の築地場外市場での開催を急遽変更し、Web上での開催となりました。
初めてのオンライン開催及び選考でしたが、外出自粛期間中は時間がたっぷりあり、投稿された一句一句を繰り返しゆっくり味わい楽しむことができました。
今回は、講師を含む投稿者9名、全36句の参加となりました。
講師選
兼題「五月雨」
特選句
五月雨や耳聡くなる眼を病めば 孝枝
並選句
五月雨や祇園芸妓は人力車 徹
五月雨や家族集まるオンライン 真砂
当季雑詠
特選句
若葉風面変わりして少年は 孝枝
恩師逝くお好きなアザミ咲いた夜 真砂
栴檀の花ほころびてふと論語 博石
並選句
初燕空を十字に刻みけり 博石
コロナ禍にミズスマシのごと宅配車 龍彦
花柄の手作りマスク五月晴れ 真砂
互選結果( )内数字は得票数
兼題「五月雨」
五月雨にユスラ眺めし幼き日 龍彦 (2)
五月雨や時代小説漁る日々 博石 (2)
五月雨や家族集まるオンライン 真砂 (2)
五月雨や耳聡くなる眼を病めば 孝枝 (1)
五月雨にマスクのお方と舫い傘 南行 (1)
五月雨や手塩にかけし薔薇香る 良一
五月雨や踵を濡らす帰り道 匡
五月雨や祇園芸妓は人力車 徹
当季雑詠
初燕空を十字に刻みけり 博石 (5)
若葉風面変わりして少年は 孝枝 (3)
蚕豆は偶にはうすく塩加減 徹 (2)
泰山木空に向かいて大輪花 まさ (2)
栴檀の花ほころびてふと論語 博石 (2)
残雪の路地奥たたずむ古地蔵 龍彦 (1)
春寒く在校生の声に泣く 南行 (1)
月見草昔遊んだ線路みち まさ (1)
春の空天守見下ろす鳶かな 南行 (1)
恩師逝くお好きなアザミ咲いた夜 真砂 (1)
篝火の川面に映えて鵜は踊る 徹 (1)
花菖蒲貴婦人のごと凛と咲き 孝枝 (1)
コロナ禍にミズスマシのごと宅配車 龍彦 (1)
雨うけてはなやぎゆれる十薬花 真砂 (1)
花柄の手作りマスク五月晴れ 真砂 (1)
春の雨花枝散らして描く絵文字 博石
薫風にコスモスゆらり長閑なり 良一
薫風や消えゆく雑踏影もなく 徹
人静か銀座通りは春の雪 南行
暗闇にひそかに香る檸檬かな 良一
夜の新樹吾を待つごとく門の傍 孝枝
夏帯や去年を想いし眺めおり まさ
公園に子らに負けじとホーホケキョ 龍彦
五月晴れ晴ればれ泳ぐ鯉のぼり 良一
城下講師講評
以上
第15回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2020年9月12日(土)10:00~13:00
御題:兼題「月」(※)1句及び当季雑詠3句 計4句
(※)次回の兼題は「月一切」です。月はもちろん、盆の月、名月等々、歳時記に多く月の季語が載っていますが、どれでも構いません。(城下講師)
場所: 向島百花園(予定)
参加費:5千円
選評講師:城下洋二先生
参加申込:2020年8月30日(日)迄にお申込み下さい。
「蘇鉄の会」会員10名は既に予約数に入っています。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
投稿締切:2020年9月5日(土)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
メールにてお送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
(2020/02/10) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第13回「蘇鉄の会」報告 及び次回開催案内
2020年2月8日(土)12:00より、築地にて第13回「蘇鉄の会」を行いました。
今回は、兼題「草餅」1句、当季雑詠3句の投句、講師を含む投稿者11名、全44句の参加となりました。
城下洋二 講師句
選句の結果は次の通り。
講師選句の結果
特選句
兼題「草餅」……なし
当季雑詠
初春や打ちましょうかと女流棋士 修二
冬うらら甍連なる大嘗宮 博石
春夕焼けポンポン船は潮に乗り 徹
初詣合格祈願の絵馬納む 孝枝
並選句
兼題「草餅」
幼子の大口あけて蓬餅 真砂
当季(冬又は春)雑詠
神宮の大き静寂や淑気満つ 孝枝
ふかふかの雀も遊ぶ冬日向 南行
堀端を廻るトラムや春立ちぬ 真砂
囀りの天に到るか高尾山 真砂
互選の結果
兼題「草餅」
長閑なり草餅食って茶をいっぷく 良 (3)
草餅や香り懐かし母の味 まさ (2)
幼子の大口あけて蓬餅 真砂 (2)
蓬餅夢追い駆けた野原かな 南行 (1)
祖母の味苦き懐かし蓬餅 博石 (1)
草餅や一つを残し遺影の母 徹
神苑や草餅作る蓬摘む 孝枝
草餅の香を懐かしむ昼下がり 徹一
よもぎ餅母命日ぞ仏壇へ 龍彦
草餅を取り上げ眺め戻し置き 修二
当季(冬又は春)雑詠
ふかふかの雀も遊ぶ冬日向 南行 (4)
春夕焼ポンポン船は潮に乗り 徹 (3)
冬うらら甍連なる大嘗宮 博石 (2)
野に遊び春の香りを身に纏う まさ (2)
囀りの天に到るか高尾山 真砂 (2)
桃節句りんまんしょゆ餅母の顔 龍彦 (1)
園児らの寒気に負けぬ笑い声 徹一 (1)
故郷の勝岡神社初詣 良 (1)
ツバメの巣軒先仰ぎ戻り待つ 修二 (1)
満天星の花を飾りの石灯籠 真砂 (1)
白き息車椅子押す老いた夫 博石 (1)
初春や打ちましょうかと女流棋士 修二 (1)
春筍に鍋いっぱいの笑顔かな 龍彦 (1)
初参り並ぶ寒さに月ひとつ 南行 (1)
汽笛音暫し戯れ土筆摘む 徹 (1)
身をちじめやがて来る春待つ蕾 修二 (1)
神宮の大き静寂や淑気満つ 孝枝 (1)
初詣合格祈願の絵馬納む 孝枝
初富士やたたなつく雲したがえて 孝枝
せいこ蟹外子内子と舌鼓 南行
どんど焼き火の粉と道連れ願いづこ まさ
二の酉や手締め手拍子華やぎて 博石
節分や豆の数だけ歳を取り まさ
衣更着の装い決めた朝の富士 徹一
三浦では七草粥を振舞われ 徹一
冬空に飛行機雲や一直線 良
初孫の祝い膳なり道後の湯 南行
堀端を廻るトラムや春立ちぬ 真砂
城下講師講評
※「りんまん」「醤油餅」とは、愛媛県松山市や北条市近辺で桃の節句頃に、上新粉を材料に各家庭で作られた蒸し餅。
現在は、松山市西一万町にある「いち万堂」にて手作り品が販売されているとのことです。(画像は、「いち万堂」ホームページから)
豊洲・築地に精通されている宮下さんのご案内で、築地場外市場界隈を見学しました。
第14回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2020年6月6日(土)10:00~13:00
御題:兼題「五月雨」1句及び当季雑詠3句 計4句
場所: 築地場外市場アトリウム
参加費:5千円
選評講師:城下洋二先生
参加申込:2020年5月30日(土)迄にお申込み下さい。
「蘇鉄の会」会員10名は既に予約数に入っています。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
投稿締切:2020年5月31日(日)
投稿方法:兼題1句と当季雑詠3句
メールにてお送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
(2019/11/12) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第12回 蘇鉄の会 報告
2019年11月09日(土)13:00より、JR国分寺駅南口より徒歩2分の「殿ヶ谷戸庭園」(国分寺市南町)にて第12回「蘇鉄の会」を行いました。
「殿ヶ谷戸庭園」は国分寺駅前徒歩2分の地にあり、駅周辺のビルや繁華街の中にある文字通りの別天地。武蔵野段丘南縁の「国分寺崖線」と呼ぶ段丘崖とその礫層から流れ出る湧水と池、自然の雑木林と平地を活かした広さ21,123.59㎡の庭園です。大正2年、江口定條(えぐちさだえ:三菱合資会社社員)がこの地を「随宜園」と命名して別荘とし、昭和4年、岩崎彦彌太(三菱合資会社取締役)が江口家から買取り、昭和9年に本館を和洋折衷の屋敷に建て替え、断崖上に紅葉亭を建築、崖線の湧水池と雑木林、平地部の芝生園を結んで回遊式庭園を完成させました。昭和40年代、国分寺駅周辺の開発計画に対し、保存を願う住民運動により、東京都が買収、整備して都立の有料庭園として保存、平成23年9月21日、「殿ヶ谷戸庭園(随宜園)」として国の名勝に指定されました。
今回は、講師を含む投稿者10名(当日出席8名)、全40句の参加となりました。
城下講師講評
1.全体にいい俳句が多くありました。
2.俳句は詩であり、理屈ではありません。
言いたいことをすべて言ってしまうと、読むほうに味わう余韻がなくなってしまいます。
言い過ぎないことが大切です。
3.字余りの句が散見されますが、助詞の使い方や他の表現で解消されるものも多々あります。
推敲してください。
4.俳句は基本的に定型詩なので韻律が大切です。
どうしても字余りになるときは上五を字余りにすると韻律が整えやすいです。
・今回特選に選んだ句は作者の実感がこもっており、季語が生きていると思います。
講師特選句
天高し帳開きて高御座 博通
秋深し故郷の土地売却す 良一
蚯蚓鳴く話途切れしベランダに 龍彦
シルバーパス初めて手にし時雨かな 真砂
講師添削〇句
衣被妻とさかづき重ねけり 龍彦
故郷の身内そろいぬ菊膾 真砂
互選句/( )内は選数
兼題:「時雨」
しぐぐるや右へ左へパス回す 博通 (2)
エンドウの種まきしたし時雨まつ 良一 (2)
シルバーパス初めて手にし時雨かな 真砂 (2)
落ち葉浴び迫れる時雨に耳澄ます 龍彦 (1)
竹林は時雨をあつめ相合傘 徹
初時雨届かぬ先の国後島 修二
粧いて橅の林は時雨かな 南行
しぐれ煮を炊きて夕餉の膳に添え 匡
泣き濡れて時雨に濡れた通夜の道 徹一
季題:
天高し帳開きて高御座 博通 (3)
庭掃いて箒の筋目に散るもみじ 匡 (3)
秋祭りもんといでやと友が言う 修二 (3)
流灯や迷い火ひとつ見え隠れ 博通 (2)
鈴なりの柿朱にひかり人を待つ 真砂 (2)
螺鈿琵琶響く調べや秋深し 博通 (2)
秋深し故郷の土地売却す 良一 (1)
秋晴れの湿原エゾ鹿見つめ合い 修二 (1)
台風の落とす怒りや地は叫ぶ 徹 (1)
澄み渡る空の下には舞う紅葉 徹一 (1)
蚯蚓鳴く話途切れしベランダに 龍彦 (1)
年の瀬や特急走る予讃線 良一
雁が音の声聞く頃や空の棹 匡
えいえんのやちぐさかほるえいえんに 徹一
老いたるや鞭打つ暑さ秋いずこ 南行
木太刀手に月下の木立踏み入りぬ 龍彦
秋茜やっと番いてどこに消ゆ 徹
これでもかこれでもかとぞ台風が 徹一
衣被妻とさかづき寒夜かな 龍彦
秋の空銀杏の古木円明寺 良一
すれ違う化粧仄かに秋日和 南行
煙立ちとうきび焼くや日暮れ刻 匡
寒暖差ソメイヨシノの秋に咲く 徹
秋茄子の藍濃く光る谷中店 真砂
天高くレースを被る富士の山 南行
掃き納め柱のキズに思い馳せ 修二
故郷より身内そろいて菊膾 真砂
第13回「蘇鉄の会」ご案内
日時:2020年2月8日(土)12:00~15:00
句題:兼題「草餅」1句及び当季(春)雑詠3句 計4句
場所: 「鴨正」(東京都中央区築地3-12-5 小山ビルB1)
参加費:5千円
選評講師:城下洋二先生
参加申込:2020年2月1日(土)迄にお申込み下さい。
「蘇鉄の会」会員10名は既に予約数に入っています。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
※あらかじめメールにて俳句の投稿を受け付けます。
投稿締切:2020年2月4日(火)
投稿方法:兼題「草餅」1句と当季雑詠3句(春の季語)
メールにてお送り下さい。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付又はメールべた打ちでもOK。
(2019/08/12) 担当:長島 公子 (事務局、19期)
俳句同好会 第11回 蘇鉄の会 報告
2019年8月10日(土)12:30より、立秋を迎えたとは言いながら、日差し強く気温35度の蒸し暑い中、樹々欝蒼と繁り蝉しぐれも賑やかな小石川後楽園の「函徳亭」にて、第11回「蘇鉄の会」を開催しました。
兼題「残暑」または「秋暑し」1句
当季雑詠 3句
参加者 11名
満腹の腹撫でてをる残暑かな
畑仕事終へて土用の蜆汁 白扇や棋士の野太き墨の痕 日のめぐみ風のささやき青葡萄 城下洋二 |
【 選評結果】
講師選
<兼 題>
家建てる音こだまして秋暑し 博石
<当季雑詠>
1席
水仕の手止めて黙祷原爆忌 孝枝
菩提寺のひかり遍き大賀蓮 龍彦
月蒼く雲なだれ落つ天狗岩 龍彦
2席
墨すれば墨香り立つ終戦日 孝枝
ひまわりよ太陽めざせ添え木あて 修二
参加者選(互選数)
<兼 題>
蒸し暑きむしろの匂い残暑かな 南行 (3)
潮満ちて残暑の夕日瀬戸に暮る 徹 (2)
残暑日に電柱の影渡り行き 修二 (1)
散歩道木陰を求める残暑かな 良 (1)
湯上りに水茄子歯に沁む残暑かな 龍彦 (1)
風薫る墨田の下り鴎寄る 博石 (1)
黒き富士朝陽に映えて秋暑し 一徹 (1)
秋暑し参道を行く異邦人 孝枝
日あし伸び我が身の影はモンスター まさ
腹見せて猫大の字に秋暑し 真砂
<当季雑詠>
反抗の黙永き子や青葡萄 孝枝 (3)
ひまわりよ太陽めざせ添え木あつ 修二 (3)
墨すれば墨香り立つ終戦日 孝枝 (2)
梅雨晴れや眉太く見ゆ帰国会 龍彦 (2)
通学の汗ばむ顔に百日紅 一徹 (2)
夏祭り提灯片手にはしゃぐ子ら まさ (2)
梅雨晴れ間浮きたる亀の飛び石に 徹 (2)
老いの日々風船かずら揺るるごと 博石 (1)
夏来たりプールに響く子等の声 真砂 (1)
長梅雨に心も折れる老いの朝 一徹 (1)
水撒きの滴に濡れる酔芙蓉 まさ (1)
山盛りの塩投げ上げて夏相撲 博石 (1)
歳重ね盆も巡りて今日あるを 徹 (1)
七夕や懸けたる願い忘れまじ 徹 (1)
水仕の手止めて黙祷原爆忌 孝枝 (1)
盆帰り鍋焼きうどん日切焼き 一徹 (1)
梅雨空に負けじと今日も球の音 良 (1)
菩提寺のひかり遍き大賀蓮 龍彦 (1)
夕風にふわりと朱き烏瓜 真砂 (1)
秋蝉の響き渡るや神の森 真砂 (1)
迎え火を早くに点けて故人待つ まさ
グラジオラス雨に打たれて首垂れる 博石
ミニトマト色鮮やかに味もよし 良
どしゃぶりに別れを惜しむ夏の墓 南行
月蒼く雲なだれ落つ天狗岩 龍彦
天の川宇宙の神秘夢を追う 修二
年いちど余韻に浸る鱧の鮨 南行
突然にホトトギス啼く高らかに 良
初夏の風心を癒す足湯かな 南行
紫陽花に招ばれた皆の婉な顔 一徹
城下洋二講師選評:
季語の使い方については今回も、「季重なり」や「季跨り」などが見られた。また、情緒的な言葉を避け、情景だけを述べる。説明は控えめにして皆の共感を得やすい具体的な表現にするなど、写生を心がける。
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第12回「蘇鉄の会」ご案内
次回の第12回蘇鉄会の内容は下記の通りです。
開催予定:2019年11月9日(土)
1.兼題:「時雨」1句/当季雑詠(秋又は冬…立冬=11/8)3句……全4句
2.選評講師:城下洋二先生
3.開催場所:東京都立殿が谷戸庭園 紅葉亭 (国分寺市南町2-16)
4.開催日時:2019/11/9日(土)13時~16時30分
5.集合場所&時間:JR中央線国分寺駅改札口 12時45分
6.会費:4,000円
7 .交通:JR中央線国分寺駅下車
8. その他:入園料別途(70円)
尚、世話方は12時に国分寺駅に集合し、駅地下のマルエイで買い物。
参加申込:2019年11月2日(土)迄にお申込み下さい。
※「蘇鉄の会」会員10名は既に予約数に入っています。
欠席される場合は上記期日までに、下記長島までご連絡下さい。
投稿締切:2019年11月2日(土)
投稿方法:自作句=兼題1句、当季雑詠3句をメールにてお送り下さい。
※上記締め切り期限までにメールにて投句を受け付けます。
sato-nagashima@coast.ocn.ne.jp
ワード文書でファイル添付でも、メールべた打ちでもOKです
(2024/04/14)2024/04/13 第29回「蘇鉄の会」ご報告&次回第30回開催のご案内 (2024/01/20)2024/01/13 第28回「蘇鉄の会」ご報告&次回第29回開催のご案内 (2023/10/13)2023/10/07 第27回「蘇鉄の会」ご報告&次回第28回開催のご案内 (2023/07/13)2023/07/08 第26回「蘇鉄の会」ご報告&次回第27回開催のご案内 (2023/04/09)2023/04/08 第25回「蘇鉄の会」ご報告&次回第26回開催のご案内 |